ハーラートップのハーラーとは、投げる人という意味です。
ハーラーについて、もう少し掘り下げて解説を知りたい方は、引き続きご覧ください。
ハーラーはハーラーダービーが省略されている
「ハーラートップの・・・」
「ハーラートップタイの・・・」
と、テレビ番組でアナウンスされるのをよく聞きます。
このハーラーとは、ハーラーダービーを省略して言っています。
ハーラーダービーとは、「投手の最多勝争い」と意味する日本人が作った和製英語になります。
メジャーリーグの中継などではハーラーダービーとは言わず、「pitching derby」(ピッチング・ダービー)と言うことがあります。
ハーラーを英単語から分析
そもそも、投手の最多勝であるのならば、ピッチャーダービーでもいいのではないのでしょうか?
英語にも投げるという言葉がいくつかあります。
その中でなぜ、ハーラーが使われているのでしょうか。
投げる意味を持つ英単語
英単語で投げるという意味を持つ英単語を上げてみると以下のようなります。
- cast
- lob
- toss
- throw
- heave
- fling
- hurl
- pitch
これらの8つの投げるという意味を持つ単語の使い方を見ていきましょう。
cast
cast(キャスト)は、対象に対してやわらかく投げることを意味します。
釣り糸や網などを、川や海などに投げ込む表現や軽いものを投げる時に用いられます。
lob
lob(ロブ)は、弧を描くように投げる、緩く高く投げる意味があります。
野球の試合などでこのようなプレーはあまり見られませんね。
toss
tossは、上方向に軽く投げる、ひょいっとなげるなど、あまり力を入れずに投げる動作に使われます。
日本でも、トスバッティングやティーバッティングをする際の、パートナーに向かって投げる動作がそれですね。
throw
throw(スロー)は、投げる動作の全般に用いられます。
どのような投げ方にも当てはまるので、さしずめユーティリティープレーヤーといったところです。
heave
heave(ヒーヴ)は、重いものを持ち上げて投げる時に使われます。
野球のボールは、どちらかというと重くなく、持ち上げて投げるわけではありませんよね。
fling
fling(フリング)は、急いでいるときにサッと投げ入れたり、怒っている時にモノを投げつけたりするときに使われます。
ピッチャーは、常に怒っていたり急いでいるわけではないですよね。
hurl
hurl(ハール)は、力を入れて投げる、強く投げる意味があります。
hurl+er=強く投げる+~する人=強く投げる人となります。
pitch
pitch(ピッチ)は、目標に向かって投げる意味があります。
pitch+er=目標に向かって投げる+~する人=目標に向かって投げる人になります
ハーラーを歴史的背景から分析
英単語だけでは、ハーラーとピッチャーが明確に分かれている基準がよくわかりません。
そこで、歴史を見てみると野球の創成期までさかのぼります。
野球の創成期はまさかの下手投げ
18世紀初頭、野球は現在の9回制ではなく、21点先取制でした。
当時の投手のルールでは、腰より下からボールを投げなければいけないばかりか、手首のスナップを効かせてはいけませんでした。
大人が、小さい子にボールを打たせるように、下から投げる光景をイメージしてもらえばわかりやすいですね。
驚くべきことに、相手バッターが投手に対してどこに投げるかの指示をすることもできました。
純粋にバッティングを楽しむ形式でした。
野球のルールや投げ方の変遷
創成期の投手の投げ方は下投げでしたが、そこからルールや投げ方が変更されていきます。
簡単なルールと投げ方についての変遷を以下の表にまとめました。
1858年 | バッターが指定したコースのボールを見逃した場合がストライク 指定されたコースを通過しない投球はボールとコールされる。 |
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1872年 | スナップを効かせた投球が可能。 |
1879年 | 全ての打たれなかったもしくは見逃したボールにストライクかボールとコールされる。 ボールを9回コールされたら一塁に出塁できる。 |
1881年 | 投手とホームベースの距離が45フィート(13.716m)だったのが50フィート(15.24m)に延長される。 |
1882年 | 腰より下ではなく、腰の高さからの投げ方が解禁される。 |
1884年 | 腰より上からの投げ方が解禁。 投手とホームベースの距離が50フィート(15.24m)を60フィート(18.44m)に延長。 |
1887年 | バッターがコースの指定をできなくなる。 |
1908年 | ピッチャーをハーラーと呼ぶようになる。 |
野球創成期の頃は、下手投げでバッターの指定したところに投げ尚且つ、バッターに打ってもらわなければなりません。
ということは、目標に向かって投げることからピッチャーと呼ばれることになりますよね。
ルールや投げ方が変わって、上から投げられるようになってからは、簡単に打てなくなりますし、何より投手の方もより打たれないように力いっぱい投げることがイメージできます。
なので、ピッチャーダービーよりもハーラー(hurl+er=強く投げる+~する人)ダービとした方が使われたのではないでしょうか。
ダービーは競馬から
もう一方のダービーの由来は、イギリス競馬で最高峰の『ダービー(derby)』です。
ダービー(derby)は発案者であるダービー卿の名を取って使われてます。
競馬の競争のようにピッチャーの熾烈な争いが想像できますよね。
サッカーでも、ダービーマッチという言葉が使われますが、由来はイギリスのダービー地区同士の対戦したことによるものです。