インフェルノの意味は、
地獄
です。
この記事では、
・インフェルノの意味と波及した要因
・ダンテ神曲の構成とあらすじ
・地獄篇のあらすじ
・地獄のイメージとなった構造
についてお伝えしています。
興味のある方は、是非ご覧ください。
インフェルノの意味と波及した要因
インフェルノは、英語のinfernoのカタカタ読みです。
インフェルノの意味と語源は以下の通りです。
意味 | 語源 |
地獄、地獄さながらの光景、大火 | infernus(ラテン語) |
インフェルノの語源となったラテン語のinfernusはイタリア語でinfernoとなりました。
インフェルノが普及した要因はダンテの「神曲」
インフェルノ(inferno)という単語が使われたのは、14世紀からと言われています。
初めて使用したのは、イタリア人作家のダンテです。
ダンテの著作で最も有名なのが「神曲」です。
「神曲」の序章のタイトルにインフェルノ(inferno)が使われました。
ダンテの「神曲」の影響は大きく、地獄のイメージが人々に定着しました。
そして、イタリア語のinfernoが1825~1835年に英語としも取り入れられました。
名前 | ダンテ・アリギエーリ(イギリス人作家) |
生年 | 1265年生まれ |
没年 | 1321年没 |
ダンテ神曲の構成とあらすじ
ダンテの「神曲」は、インフェルノ(inferno)の言葉と意味そして、イメージを波及させました。
ここでは、ダンテの「神曲」を知らない方向けに構成とあらすじをご紹介していきます。
ダンテ神曲の構成
「神曲」は構成は、以下のようになります。
パート | 歌の数 |
地獄篇 (Inferno) | 33 |
煉獄篇 (Purgatorio) | 33 |
天国篇 (Paradiso) | 33 |
※地獄篇の最初の第一歌は、三界全体の構想をあらわした、イントロとなっているので除外しています。
三韻句法が用いられていて、各篇はそれぞれ33歌で3の倍数になります。
以上から分かる通り、3にこだわって作られることがわかります。
これは、キリスト教の三位一体の考えに基づいていると言われています。
キリスト教の三位一体とは、
- 父(父なる神・父神)
- 子(神の子・子なるキリスト)
- 霊(聖霊・聖神)
の3つが一体(唯一神)であるとする教えです。
ダンテ神曲のストーリー
「神曲」では死後の世界観が描かれていて、ダンテ自身が主人公となっています。
ダンテの死後のを描いたものではなく、生きたままその世界を体験することができたという設定です。
深い森に迷い込んだダンテは、地獄に足を踏み入れます。
そこから煉獄、天国へと旅をする物語です。
途中には、歴史や聖書・神話に出てるく人物が数多く登場します。
それぞれの歴史や聖書・神話上の人物が、生前の思想や生活を語り、ダンテと対話していきます。
地獄篇のあらすじ
ダンテが暗い森の中で目を覚まします。
古代の詩人ウェルギリウス(ダンテが師と仰いでいる)に会います。
ウェルギリウスが案内人となって、地獄を巡っていきます。
地獄は、9つの層になっており、生前に犯した罪によって罰を受ける仕組みになっています。
階層が下に行けば行くほどその罪が重く、同様に罰も重くなっていきます。
地獄を抜けるためには、最下層に行く必要があります。
階層によって、罪に応じた永遠に解放されることのない罰を受け続けている様子が描かれています。
最下層には、魔王ルシファーがいます。
ダンテとウェルギリウスは、魔王ルシファーの体を踏み台にして、大地の表面を目指します。
その先あったのが「煉獄」です。
地獄のイメージとなった構造
ダンテの神曲によって、地獄のイメージが人々に定着されました。
そのイメージとなる地獄のは以下の通りになります。
地獄の門 | 「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」が記されている。 |
地獄前域 | 善も悪もなさなかった者が、地獄にも天国にも入ることを許されない。 ここで蜂や虻に刺される。 |
アケローン川 | カロンが渡し船の船頭をしている。 三途の川のようなもの。 |
第1層 辺獄(リンボ) | 洗礼を受けなかった人が、永遠に時を過ごす。 |
第2層 愛欲者の地獄 | 肉欲に溺れた者が、暴風に吹かれている。 |
第3層 大食者の地獄 | 大食の罪を犯した者が、冷たい雨に打たれてケルベロスに引き裂かれる。 |
第4層 貪欲者の地獄 | 浪費や欲張った者が、重い金貨の袋を転がしながらお互いを罵る。 |
第5層 憤怒者の地獄 | 怒りで我を忘れた者が、スティージュの沼で互いに戦い合う。 |
ディーテの市 | 堕落した天使と重罪人が受け入れられる。 消えない炎に赤熱した環状の要塞。 ここより下の地獄圏はこの内部にある。 |
第6層 異端者の地獄 | 異端の教主と門徒が墓の中で焼かれている。 |
第7層 暴力者の地獄 | 自分や他人に対して暴力をふるった者が、暴力の種類に応じて3つの環に振り分けられる。 |
第1の環 隣人に対する暴力 | 隣人の身体や財産に暴力をふるった物が、煮えたぎる血の河のフレジェトンタに漬けられる。 |
第2の環 自己に対する暴力 | 自殺者の森。 自殺した者が、木や枝に変えられアルピエに葉を啄ばまれる。 |
第3の環 神と自然に対する暴力 | 神や自然に対して暴力をふるった物が、熱砂の上で火の雨を受けている。 |
第8層 悪意者の地獄 | 悪意を持って罪を犯した者が、それぞれ10堀に振り分けられる。 |
第1の堀 女衒(ぜげん) | 女性を売った者が、角ある悪鬼から鞭で打たれる。 |
第2の堀 阿諛者(あゆしゃ) | 媚びへつらい過ぎたものが、糞尿まみれになる。 |
第3の堀 沽聖者 | 聖物や聖職を売買した者が、岩孔に入れられて火炎に包まれる。 |
第4の堀 魔術師 | 占いや魔法による呪術を行った者が、首を反対向きに曲げられる。 |
第5の堀 汚職者 | 賄賂をしたものが、煮えたぎる瀝青(ビチューメン)に漬けられる。 |
第6の堀 偽善者 | 偽善をした者が、外面は美しい金で内側が重い鉛の外套を着せられひたすら歩く。 |
第7の堀 盗賊 | 盗みを働いた者が、蛇に噛まれて燃え上がり灰となる。 再びもとの姿に戻る。 |
第8の堀 謀略者 | 自分の利益のために他者を欺いた者が、火で焼かれる。 |
第9の堀 離間者 | 不和・分裂の種をまいた者が、体を裂き切られる。 |
第10の堀 詐欺師 | 錬金術などで偽造や虚偽を行った者が、疫病にかかる。 |
第9層 裏切者の地獄 | コキュートス(嘆きの川)と呼ばれる氷地獄。 最も重い罪の裏切を行った者が、永遠に氷漬けとなになる。 罪によって4つの円に振り分けられる。 |
第1の円 カイーナ | 肉親を裏切った者 |
第2の円 アンテノーラ | 国を裏切った者 |
第3の円 トロメーア | 客人を裏切った者 |
第4の円 ジュデッカ | 神を裏切った者 |
「インフェルノ」と「ヘル」の違い
「インフェルノ」は、地獄という意味でした。
同じ地獄という意味を持つ言葉で「ヘル」があります。
「ヘル」の方が、一般的にも良く知られています。
「ヘル」の意味と語源は以下の通りです。
意味 | 語源 |
地獄、(地獄のような)苦悩の場所、 この世の地獄、修羅場、絶対~ない |
hel(現代英語の祖語) |
「インフェルノ」も「ヘル」も、地獄のような光景や場所を例えて表現しますね。
では、「インフェルノ」と「ヘル」の違いはどうなるのでしょうか。
「インフェルノ」と「ヘル」の違いを比較したものは以下の通りです。
インフェルノ(inferno) | ヘル(hell) | |
意味 | 大火 「ヘル」にはない意味を持つ |
修羅場、絶対~ない インフェルノにはない意味を持つ |
語源 | infernus(ラテン語) | hel(現代英語の祖語) |
なので、「インフェルノ」と「ヘル」の使い分けは、以下のようになります。
インフェルノ | ヘル |
燃え盛る火を伴った惨状 | 過酷な環境や状態 |